立教大学清談会の議事録、会長の雑記など。

身近な数学の話

 

黄金比

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1:1.618…(だいたい5:8)

のことを黄金比といいます。もっとも美しいと言われている比です。ミロのヴィーナスやパルテノン神殿などの美術品や、ひまわりの種の並びやクジャクの羽の模様などの生き物にも見られる比です。現代ではTwitterのアイコンやapple社のリンゴのアイコンなどのデザインにも取り入れられています。

この1.618…という数は正確には

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という形であらわされます。黄金比のことをよくギリシア文字の「Φ(ファイ)」で表します。

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詳しい証明は割愛しますが、正五角形の一辺の長さと対角線の長さの比は1:Φになっています。そして正五角形の対角線をすべて結んだときにできる星形はきれいな形としてよく描かれます。もちろん、この比を意識しているわけではないかもしれませんが、星形五角形が美しい図形として描かれる理由となっているかもしれません。

1 1 2 3 5 8 13 21 34 55 89…

この数列はフィボナッチ数列と呼ばれています。最初と2番目が1で3番目以降は一つ前と二つ前の数字の足し算となっています。そして、この数字の中から一つ選んでその一つ前の数で割るということを考えます。左から2番目の数から順番に見ていくと、

1÷1=1

2÷1=2

3÷2=1.5

5÷3=1.666…

8÷5=1.6

13÷8=1.625

21÷13=1.615…

34÷21=1.619…

55÷34=1.6176…

 89÷55=1.61818…

というふうになり、だんだん1.618…のΦに近づいていきます。まったく関係のない五角形と数列が意外なところで結びついていますね。高校2年生までの数学を使えば、これらが数字上結びついているはっきりわかります。ただこれらはまったく別の分野の話なのでこれらの関係が必然なのか偶然なのか文系の僕にはわかりません。

 単に数学の話だけだと興味を持ちにくいテーマかもしれませんが、これが身近なデザインや生き物たちにも表れているということを知ると、惹かれてしまいますよね。

 

博士の愛した数式

小野洋子さんの『博士の愛した数式』という本があります。登場する博士は数学者だったのですが、事故をきっかけに新しい記憶が定期的になくなってしまうという状態に陥ってしまいます。その博士のヘルパーをつとめる主人公は記憶をなくしてしまう博士の世話に四苦八苦します。ですが、博士がはなす数学の話をきっかけにだんだんとうちとけていきます。主人公の息子(博士は彼を「ルート」と呼びます)も数学の話を通じて博士と仲良くなっていく、とてもハートフルなお話です。「数学」と入っているので手に取りにくいかもしれませんが、野球や誕生日などの話とむすびつけてストーリーが進んでいくので、とても楽しいです。

物語の中で「世界で一番美しい数式」とよばれるものが登場します。

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オイラーの公式)という式です。僕も初めてこれを見たときに何が美しいのかはもちろん、この式が何を表しているのかさえわかりませんでした。これをきちんと理解しようとすると大学数学が必要になります。

πは円周率、iは虚数単位、eは自然対数の底ネイピア数)です。「円周率は知っているけど、虚数とか自然対数とかよくわからん」という感じですよね。めちゃくちゃ大雑把にいうと

 

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ということです。(ぼくもよくわかっていません)

とにかく0、1、π、i、eという成り立ちが全然違うけど、数学でよく出てくる数が一つの式におさまっているというのがすごい(らしい)です。そしてこれらの数はほかの学問領域でも出てきますし、歴史や工学との結びつきもあるそうです。数学の中だけでもいろんなことが結びついてくるのは興味深いですが、これが、ほかの分野とのかかわりがあるということを考えると世界は広いような狭いような不思議な感覚になりますね。

 

★最後に一言

隣の芝生は青く見えるといいますが、自分も文系にいるからか、たまに数学や理科に触れると楽しくなります。僕が変わっているからしょうか?もし理系の話に興味があるっていう人がいたら話をしたいものです。(kurohato)